毒蛇の園

 百番目の男、デス・コレクターズと続いたこの作者のシリーズ第三弾。(しかし、このブログ、アーカイブのリンクが目茶苦茶だ。検索だと出てくるのだが、......MT5にしたら直るのかしらん?)
 もともと上の二冊が一発ビックリネタ系の作品だったのだが、本作において思いっきり正当派モードにシフトしたようだ。もちろん、猟奇殺人とか、シリアルキラーとかは同じなのだが、その犯罪のオタク的理由がテーマ(ビックリネタ)だった前二作とは打って変わり、殺人は全体の構成の一要素に落ち着き、ビックリネタも正当派推理要素に席をゆずったようだ。
 で、一番の売りを使っていない状態なのでつまらないかというと......、どうしてもこの作者には以前の作品のショックを求めてしまうのだが、その惰性を割り引いて考えれば、つまりこれが純粋に初めて読む単発の作品と考えれば、充分に面白い。全く人間的な主人公の女性関係のぐちゃぐちゃ(恋人が以前の恋人と縒りを戻すあたりが突出してリアルだった)や、犯人の主観を織り交ぜたトリッキーな文章は、このシリーズでなくても充分に読者を惹きつけるだろう。しかし、逆に考えると、ビックリオタクネタが無くなったことで、状況的にはこのシリーズのアイデンティティが問われているのかも知れない。
 一読して、登場人物の結象の仕方が厚みを増していること、正攻法のどんでん返しが、この作者の実力アップの証明にはなっても、シリーズの証明になるかというと微妙なところがある。文章力や構成力はどの作品でも売り物になっているポイントだ。それだけではシリーズの独自性を維持する柱にはならない。

 ......だからジェレミーを出して欲しい。

 個人的にはこのシリーズのファンである。だから、当然のようにファン的な発想をすると、このシリーズのアイデンティティは、今回は登場しなかった、繊細なハンニバルであるジェレミーのキャラクターにあるのだ。
 次作は、ジェレミー君がしっかりと主要な登場人物として登場するらしい。そこで、多分このシリーズの今後の行方が占われるだろう。

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