サイコブレイカー

 どういうわけか、主流から外れているからか、この作者の今までの四冊の本は全部目を通してしまったことになる。本の形態を含めて、今の私にはこのぐらいのウエイトの本がちょうど良いのかも知れない。(ちょっと文字も大きめだし......)
 最新作のこの作品は、多分作者が原点回帰を計ったということで、前々作、前作と積み重なってきた本人にとっての「無理」のようなものを回避して作品を作ったのだと思う。だからすごく?自然な感じで、プロット中おかしい部分も自家薬籠中のものという感じで、目くじらを立てる気にならない。それよりも自分にできることを意識してその中で暴れまくった感が、良い感じである。密閉された空間、シリアルキラー、入れ子細工、話の主体に対する不信感、催眠術、「謎々」、とスリラーにとって美味しいネタをてんこ盛りにしたスピード感にあふれる快作である。心理的に弱い人はご用心、と言いたいところだが、作者の意に反して、そこら辺は大丈夫だろう。不安定な人出も安心して面白がれます。
 ......さてさて、今気づいたのだが、この作者、すごく色々なキャリアがある割には、若書きなのだね。民族性だろうか、本人がアメリカライズされていないせいだろうか? つまり、成熟してきた本作も、あちこちに青臭い感じが漂っているのである。その青臭さが、悪くないのだ。意図して入れているのなら、大したものであるなぁ......。

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