2009年7月アーカイブ

Office 2008 Service Pack 2 (12.2.0)

 旧来のコンピューターユーザーとして、あまりMacにOfficeは入れたくない(同様にWin機にAdobe製品は入れたくない)のだが、文書のやり取り等、やむにやまれぬ必要性はあるので、やはり、ここはひとつ、という感じで入れてある。
 しかしよく使うのはエクセルぐらいで、パワポとワードはHDの肥やしと化していた。
(......ちなみにアントラージュは、混乱するのでインストールさえ自粛しています)
 パワポは、ライバルのキィノートがかなり出来が良いので出番がなかなかないという消極的な理由なのだが、ワードの方は長文を入れるとレスポンスが激重になるというかなり深刻な問題があるのだった。いずれにしても、あまりほとんど使う機会はなく、たまにワードの文書を閲覧する程度。なので、放置しても良さそうなものだが、そこはそれ、アプリオタクと言うか、アップデーターが出るたびに律儀にアップデートしている自分なのだった。
 最近、Office2008に、SP2が出た。普段は、バグフィックスになんで"サービス"パックという名前を使うのかとぶつぶつ言うぐらいなのだが、今回のは、例のグーグルドキュメントに対抗したなんとかドキュメント?が機能的に増えるので、まぁちゃんとサービスパックだよなとか言いつつアップデート。んで、例によって暫く放置していたのだが、何かの機会に開いたエクセルのレスポンスが妙によい。やればでいるじゃないかMS。ひょっとしてと思ってワードを立ち上げたら、入力が重くない!
 まぁ、エクセルはレスポンスがよいからといって用途が増えるということはなく単に嬉しい程度だったのだが、ワードは一気に株を上げた。元々、機能が多くて(Mac版は)激重ということが売りの?ソフトだったのが、かなりの軽快さを併せ持つことになったので、使う場面は多い。今までは重くて使えなかったのである。
 まぁレイアウトと長文の方はやはりアレであるが、普段の細々したノート作成等に、かなり便利に使えるのではないかと思う。(アウトラインとイメージの貼り付けと表作成と声の録音とその他諸々がひとつの書類でできるのはやはり画期的なのではある)

 それにしても、やはりEGWORDは素晴らしかったな......。早く復活させてください→物書堂さん!

サイコブレイカー

 どういうわけか、主流から外れているからか、この作者の今までの四冊の本は全部目を通してしまったことになる。本の形態を含めて、今の私にはこのぐらいのウエイトの本がちょうど良いのかも知れない。(ちょっと文字も大きめだし......)
 最新作のこの作品は、多分作者が原点回帰を計ったということで、前々作、前作と積み重なってきた本人にとっての「無理」のようなものを回避して作品を作ったのだと思う。だからすごく?自然な感じで、プロット中おかしい部分も自家薬籠中のものという感じで、目くじらを立てる気にならない。それよりも自分にできることを意識してその中で暴れまくった感が、良い感じである。密閉された空間、シリアルキラー、入れ子細工、話の主体に対する不信感、催眠術、「謎々」、とスリラーにとって美味しいネタをてんこ盛りにしたスピード感にあふれる快作である。心理的に弱い人はご用心、と言いたいところだが、作者の意に反して、そこら辺は大丈夫だろう。不安定な人出も安心して面白がれます。
 ......さてさて、今気づいたのだが、この作者、すごく色々なキャリアがある割には、若書きなのだね。民族性だろうか、本人がアメリカライズされていないせいだろうか? つまり、成熟してきた本作も、あちこちに青臭い感じが漂っているのである。その青臭さが、悪くないのだ。意図して入れているのなら、大したものであるなぁ......。

オッド・トーマスの霊感

 名作だ傑作だと出版社が喧伝するのは毎度のことだが、何十年とそんなのに付き合っていると、本気の「傑作」と宣伝用傑作がなんとなく区別できてくる。この作品もやたら気合いの入った傑作フラグを立てられているが、安心して欲しい。はっきりと前者の方である。
 一読、ネタの選び方といい料理の仕方といい、まさにクーンツなのだが、良い意味でクーンツじゃないみたいだ。自分自身を越えた作品というのは、大概読み手にとってもいい作品になることが多いのである......。
 主人公は、死者と、一種の霊界の存在が見える能力を持っている。後は、最近のこの作者の「あり得ない優等生路線」を引き継いで、ほとんど宗教的な良いヤツぶりを。この程度の能力では、クーンツにしては地味である。この地味さが、傑作のための条件になったようだ。
 基本的にただ見られるだけなので、描写が厚くなり、多分そのために、霊界の存在たちが分厚い存在感を持っているのだ(あと、現実界のキャラクターも)。
 非常にリアルであり、実際に死者が見えたらこんな感じだろうという生理的な予感さえ感じさせる。
 ......霊界のイメージとしては典型的なアメリカの霊界像で、この世とあの世の間にリンボがあって、あの世は、この世とレベルが違うので、見えない。死者は基本的にあの世に行くのだが、行く前にこの世への未練や思い込みに従ってリンボに留まる。主人公はこのリンボの存在だけを察知できるのだ。
 そんな世界観であるが、ストーリーは、いわゆる「(作家が)一生に一度だけ使うことが許される」と言われる奥義的なネタを使っている。
 クーンツがこの仕掛けを使ったのには驚いたが、また使ってみるといかにもクーンツ的な仕掛けにも見えてきて、要はかなりこなれているということだろう。いずれにしても、泣かされる話である。宣伝通り、ハンカチ必須の傑作である。(ハヤカワ文庫)

魔女の鉄槌

 なんといっても浅羽莢子訳である。それだけで事前に名作であることは約束されたようなもの。しかも『愛書家』、『魔術書』、『【魔女の鉄槌】』などのテーマが鏤められているとあっては、どうしても読まないではいられない類の作品であるだろう。なので、一時、書店を探し回ったが、無く、アマゾンにも無く、つまり絶版と言うことで、ようやく再版されて手に入れたのが3年前。奥付けを見ると、初版から再版までに10年近くの時間が経っている→角川め。というわけで、個人的には入手するまでさえドラマチックだった一冊なのだが、それから、なぜか読まずに今まで来てしまった。その間、訳者の浅羽莢子は他界し(末期のご自身のblogでこの作品に若干触れている)、私にとって日本の文芸エンターティメント界の意味が変質さえしてしまったのだった。

 改めて読んでみると、一部不思議な舌触りの部分はあるが(主人公の元夫の言葉遣いが一部変)、この訳者の美点の一つ、完全に登場人物に一致した台詞回しは(前述の部分を除き)健在で、つまらないテクニックではなく、物語自体に引き込まれ、至福の時を過ごさせてくれる。

 作品は、実は【魔女の鉄槌】自体は多分添え物(しかしもの凄い添え物)で、【女】=【魔女】→【女と男の戦い】というあたりが基本テーマで、魔力=セックスの力と同定しているあたりが、ベタなのだが、感覚的に正確に描写してあって、面白かった。作者さんは女性なので、女の力が魔術的に自分と世界を変えていく、そこらへんの描写がかなりリアルだ。反対に、いわゆるショックシーンは押さえ込まれた描写で、これは原著が書かれた時代のせいなのか、作者自身の抑制なのか分からない。

 それでも、終盤はもう目茶苦茶で、アメリカの宗教の人たちはこんなに酷いのかと思ってしまう程だが、考えてみればKKK団とか黒人を磔にして火あぶりにしていたわけだし、日本だってあれこれのイデオロギーの狂信者のやらかしたことはこれどころじゃなく酷いわけだし、それどころか戦争が始まれば普通の人たちもそうなってしまうわけだし、......つくづく人間の「業」に思いを致す読後感でした。

 いやはやしかし変な本だ、【マレウス・マレフィカールム(魔女の鉄槌)】、本書中に紹介されているその一部を読んでから、公園の端に立っているこんもりした樹を見るたびに、その木の上に魔女が男たちから取り外してきた××が......(以下自粛)





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