不死の怪物

 何年か前に「幻の古典」という位置づけで出版された、ホラーの古典である。NETで調べてみると残念ながら在庫切れ状態らしい。内容と売れ行きのギャップを考えるとさらに幻度がアップしそうだ。

 何となく買っておいたのだが、読む機会がなく、そのまま失念、最近蔵書のリスト化を始めたのだが、部屋の片隅からとつぜん現れて驚かせてくれた。最近個人的な「必読書」が立て続けに出版されているので、あまり時間がないのだがなんとか読み切った。文体が古いので抵抗はあるが、なんとかそのバリヤーを突破すると、まぁいつものことであるが面白いのだった。

ネタは最初の数ページでばれてしまうが、これはこの展開がまさに古典としてハリウッド映画等でさんざん使い回されているから、何となく見当が付いてしまうのだ。しかし、それが分かってしまっても、なぜか一種の新鮮さを持っているのは、これがかなり「一次作品」に近いからなのではないかと思う。「一次作品」、「二次作品」というのは、世相が二次的であるからか、なぜか最近気になっているところなのだが、今回は深入りしないでおく......。

 それはさておき、最後のクライマックスが圧巻で、しかしそれはホラー的な圧巻ではない。むしろ、言葉の力の圧巻であって、ホラー小説ではなくてホラー小説といってもいいかも知れない。神話の言葉の力である。直接的な言葉でないところで、逆に神話の持つパワーを感じさせる言語空間を作っている。ギリシア悲劇の合唱団の力は、多分このような感じではなかったのか?

(文春文庫)

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