白川静 漢字の世界観

 日本のシュタイナー教育の中で、国語の扱いはなかなか難しい部類に入るようだ。以前、日本のシュタイナー教育構築のために来日していたシュタイナー教育の「先生の先生」に、「日本の子どもたちに漢字を教えるメソッドを考えたい。なにか良い参考書を探してくれ」と言われて、かなり閉口した覚えがある。実際に探したのだが、漢字をその本源的なところから説明してくれる本を、当時の私は見つけられなかったのだ(シュタイナー教育だから、本当に深い部分から取り上げなければならない。意味の羅列とかは、はじめから問題にならない)。洋書の中から、テキトーなものを探して渡したような気がする。確か、何の反応もなかったな(泣)。
 すみません、当時の私がこの本を知っていたら、迷わず白川静の辞典を渡しただろう。それがこの短期間で実際のカリキュラムに結実したか、現場の教師たちにそれを教える能力があったかどうかは、また別の問題として......。

 一冊の本は、それを読むことで一つの新しい世界を与えてくれるものであるべきだと思うが、これは私にとってまさにその様な本であった。電車の中やコンピューターのディスプレイで日本語の文字面を眺めていると、そこに今まで見えていたものとは全然違うものが見えてくるのである。

(平凡社新書)

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