十の罪業 BLACK

【永遠】 ジェフリー・ディーヴァー
新しいキャラクターをどんどん生産中のディーヴァー卿、今度は数学者で来ました。
まぁそこらへんのある意味あざといところが全然イヤミにならないところが卿の卿たる所以なのですが。
作品は、小技全開、いつものディーヴァーでした。最後が、ディーヴァーにしても思いがけない展開で、やはり、......あぁ、やっぱり驚かされてしまった。パターン的な前例は多分いくつかあるのだけれどね。この作者がそれをやってしまうのが驚きで、まぁ身を挺したトリックという感じ。しかし、この世界観だと続編を長編化できないではないか、それでも無理矢理力業でやってしまうか、おとぼけで今作の落ちは忘れて他のシリーズ作品に同化させるか、興味深いところです。

【彼らが残したもの】スティーブン・キング
前のディーバーが、この「中編集」中一番の長さになっているのに比べて、キングはかなり短い。作者のキャラクターを示したような、なかなかの好対照になっております。作品は、9.11をめぐってのホラーテイスト都会ファンタジー。キングの本質って、ファンタジーというか、悪く言うとラッセンの絵のような感じかも知れないな、と思い始めました。ラッセンの絵によって現代人の色彩感覚の少なからぬ部分が破壊されておると私は確信しているのですが......。

【玉蜀黍の乙女 ある愛の物語】ジョイス・キャロル・オーツ
〽フランシーヌの場合は、あまりにもお馬鹿さん、フランシーヌの場合は、あまりにも哀しい......、って、知ってる人にはネタバレしてますけど、そのような感じのオチ。ちょっと唐突すぎて、あるわけがないと思ったのだが、このフランシーヌの歌を思い出した......。あれも実話ですからね。あるんですね、こーゆーことが......。乙女心ってこんなんですか? あと、髪結いの亭主ですか、同じテーマは......(全体のテーマではないですが......)、やはりあるのか......。浅学にして違和感が多く残ってしまいました。

【アーチボルドー線上を歩く者】ウォルター・モズリイ
アーチボルド、カッコいいです。思えば幼い頃は同じ街の中に「おにいさん」がいて、これが大人の匂いを漂わせてカッコよかったのだが、今の都会の子どもたちにもそんな存在はあるのだろうか? あるいは、ある程度歳がいっても、「兄」的存在は本当はあった方がいいのだろうが、残念ながら批判とモラハラの現代では、そのような存在であるのは容易なことではない。このアーチボルドのように半分いかれている方が、批判やモラハラの攻撃を最初から受けつけないあり方の方が、「兄」になりやすいのかも知れない。

【人質】アン・ペリー
これもかなりの極上品。頑固オヤジの奥さんが犯罪と夫の頑固の間に立って中間管理職のように戦う話。抑えたタッチが逆に迫力を感じさせ、それにしても女性心理がよく出ている、リアルだ、......と思って、この作者を調べたら......、す、凄すぎます......、この経歴。ホンマかいな。わが目を疑いたい方はWikiとかで調べてみて。事実は小説よりも奇なり、きっと日本だったら作家活動できなくなったりするんだろうな。自分の無知を恥じました。世界って本当に面白いですね。

(創元推理文庫)

同じカテゴリの記事





for iPhone

カテゴリ一覧

アーカイブ

Powered by Movable Type 4.23-ja