2007年10月アーカイブ

殺人者は夢を見るか

 最近個人的に文章家として評価が高くなってきたフロイトを、人間の心に関心のある人だったら誰でも気になる彼とユングとの関係を含めて取り込んだスリラーで、これは「やられた」という感じ。私にとっては書店で見かけてすぐに購入するほどのインパクトでした。  中身の方も作者の綿密な調査ぶりが素人目にも分るほどの正確度で、一部で有名なユングの「手を出した女患者の両親に慰謝料を請求事件」や、オカルト愛好家に有名なフロイトとの「念力対決事件」などは、ほとんどそのままの形で取り込まれていて、まるで上等な歴史物を読んでいるかのような感触。一部、あまりにもアレ過ぎてホンマかいなという感じになるところもあるのだが、本筋のスリラー部分よりも、このフロイト達実在の心理学者達の実エピソードに基づくあれこれが面白いのは、小説としての瑕疵というよりも、取り上げたネタの強烈さ、それを描写できた作者の筆力によるというわけかな。実在しない登場人物も、主役の二人は充分に魅力的で、そのジョークやペーソスが、どことなく時代がかっているのはさすが。 (講談社文庫)

銭ゲバ

 小学生低学年の頃か、幼児体験で、読んではいけないマンガというのがいくつかあって、そのひとつは断然この「銭ゲバ」だ。......もうひとつは「アシュラ」だ。ひとつは、殺人を続けながら金持ちになっていく男の話で、もう一つは食料難で人肉食が横行する時代の話。両方ジョージ秋山の作品である。なんだか恐いもの見たさで再読(になるのか? ほとんど忘れてんだもんな。)  いやいや、凄いな、ジョージ秋山って......。こんなもんを「少年サンデー」に連載したんだ......。サンデーも大したもんだったんだ......。当時は、多分、大学生がマンガを読んでいると社会問題になっていた頃だけど、こんなんだったら、大学生にも分るとは思えない(これは、私が今の大学生を基準に考えてしまうからで、当時はひょっとして今より大人だったのかも知れない。それにしても、この作品の情念とポエジーが社会経験の少ない人に分るとは思えないのだ......)。  ちなみに、上巻末尾を飾る小畑純子のエピソードは、この長編の白眉だ。ほとんどページを使ってないんだけど、これは誰だって泣くでしょう。このエピソードを核に、前に「どうしてそうなったか」を、後に「それからどうなったか」を追加したのが、この作品に思えるのだ。  ところで、この主人公、長野県松本市の御出身なのだ。  ジョージ秋山は栃木の出身だ。う〜ん......()




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