終決者たち

 御大マイクル・コナリーのボッシュシリーズ最新刊。  このシリーズの共感できる特徴の一つが、刑事である主人公が組織との問題を常に抱え続けていることで、この主人公はシリーズ初期の頃にすでに上司を窓から放り投げたりしている程だ。  一時退職していたのだが、復帰し、御祝儀的に組織と蜜月状態にある。組織に対して問題を起こさないことを誓ったりして、なにやら彼らしくないのであるが、まぁ結局組織のある部分に対しては問題を起こしてしまう。でもそれは、組織の他の部分にとっては都合がいいので、彼は受け入れられた、ということらしい。  そのような複雑怪奇伏魔殿な組織の力学は、政治とも言い、本当のところは関わることを遠慮したい類のものだ。少なくとも私はそうである。  主人公もそうらしく、関わりたくないことを自分が必要としているということに毎回悩んでいる(ような気がする)。  今回はたまたまラッキーなのであるが、よく考えるとやはり組織に利用されているだけであり、それには彼が仕事を続けている理由である信念は関係ない。それでも、自分のその信念、事件の被害者の代弁をするという私的な義務感と情念のために、利用されていることに関わらず問題はないかのように組織の中にいてしまう主人公は、カッコいい、と。  普通は、組織の中にいると組織のことしか目に入らなくなり、自分が何故そこに来たのか、忘れてしまうものなのであるけれどね......。(講談社文庫)

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