2005年11月アーカイブ

サルバドールの復活

前作『飛蝗の農場』で、日本中を愕然とさせた作者の新作。パンクな味わいの強かった前作に比べて、思いっきり文学的。しかしその『文学』というのが、作者の独自なブンガクであるので、普通の小説を読むようなつもりで読むと、かなりのインパクトを受けてしまうだろう。思わせぶりで悪趣味で猥雑でフランク・ザッパなイメージ世界が展開している。一体どういう発想をすればこのような世界を表象することができるのか? 一体この人は真面目なのかそうでないのか。前作で、作品の一番大事なエピローグに、大ヒット映画の有名なエピローグのまんまパクリを持ってきた厚顔無恥なおとぼけぶりはこの作品では影を潜めているが、しかしこーゆーネタでここまで話を重厚に組み立ててしまう愚直な力技は、やはり『飛蝗の』と同じ質の不器用(?)ぶりを感じてしまう。この不器用さが、人の目を逸らしてしまう類のものではなく、むしろ反対にどうにも関心を惹きつけてしまうところは、この作者の不思議な資質だと思う。(創元推理文庫)




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