2005年9月アーカイブ

電車の中で、吹きそうになって我慢するのが大変だった。 18禁、というか30禁ぐらいかも知れない。 しかし誤解する人がいるといけないので、はじめに著者の植島啓司について書いておくと、いにしえの【東大四天王】の一人で、エリアーデの弟子(!)、日常生活のあらゆる面に宗教性を見るというテーマで、何冊かの本を書いている。そんで、その解説を澁澤龍彦が書いているという、なんだか大変な学者さん。残念ながらブライアン・キィの諸作の紹介が、かなりのイメージダウンになってしまったような気がする。 でも、まぁ、頭がいい人は頭がいい文章を書くのであり、世間のヴィクトリア王朝もどきの安易な偏見にたてつく彼の姿勢は、見ていてとても気持ちいい。 で、この本なのであるが、『カーマ・スートラ』の解説ではあるのだが、当然ながら上述の作者のテーマに忠実にそった記述形態になっている。要は面白いのである。もちろん、カーマ・スートラ自体が面白いのだが、彼の視点によりそれがはっきりと私たちに分かるのだ。例えば、孫引きになってしまうが、...... 人を好きになる段階 (1)見て惚れる (2)心を惹きつけられる (3)絶えず物思いにふける (4)眠れなくなる (5)痩せ衰える (6)享楽の対象から遠ざかる (7)恥も外聞もなくなる (8)気が狂う (9)失神する (10)死ぬ これが、インドの聖典による人を好きになる10段階である。なるほど。私としては(7)あたりまでがいい段階なのではないかと思うが、さらに(7)と(8)の間に、・神秘体験をする、テレパシーを体験する、なんてのを入れてみたい。 人によっては(8)以上に行ってしまう場合もあるんだろうなぁ...... *1 。しかし、人間、死んではいかん、できれば気が狂ったり失神したりもしたくない......、 ......なので、自分の命を守るため、相手が人妻であっても誘惑してかまわない、というのがオチだ。インドって凄すぎる......(笑) で、この本の影響で、最近ちょこちょこと原典を開いて勉強している。題材が題材なので、めっぽう刺激的だ。それで、色々考えてしまうので。時々、ここに書いてみたいと思っている。 *1 : そういえば、昔、チャーが、『気絶するほど悩ましい』と唄っていたねぇ......(講談社現代新書 )

月下の狙撃者

何となく不服である。ここに載せるためにアマゾンで調べたのだが、どうもあまり売れていないようだ、この本。かなり出来が良かったので、もっと読まれていいはずなんだけれど......。 もっとも、どんなジャンルの読者であれ、常に目新しさを求めるところはあるわけで、これは非常にオーソドックスな良さなので、関心を惹きにくいのかも知れない。『このミス』なんか、ちょっと妙な作品が多く上位を占めるものな。しかし、オーソドックスな良さというのは、王道でもあるのだけれど......。  ファーストレディ(大統領夫人)に恋心を抱く暗殺者(愛しているから殺したい)と、同じく恋心を持つシークレットサービス(だっけ?)の男が、戦う話。オーソドックスな上に、ファーストレディを持ってきた段階で、ステロタイプな香りも存分に漂う。別に、ヒロインは別の身分でも多分ほとんど問題ない話で、この本の魅力は別のところにある。ライバルである暗殺者に対する、主人公の好意と共感が、魅力的なのだ。また、暗殺者の方も、主人公に対して同様の感情を持つに至る。主人公はスーパーヒーロー、暗殺者は性格異常者なのだが、いずれにしても人間の度量が大きいわけだ。度量というのは、実際は善悪には関係ない。それはよく描かれるが、度量の大きい狂人というのは、現実にはありそうもない設定で、しかし大変に魅力的でよろしい。......男同士が理解しあうが、しかし決してホモ小説ではないのは、念を押しておきたい。 ファーストレディも、理想的(ありそうもない)な設定であるのだが、実在感があり、最後の行動などありそうすぎて悔しくなるほどである。まぁ***したら、ありそうもなさすぎて話が破綻しそうだから、これでいいのかな?  あと、女心の不思議さということからも。(文春文庫)




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