2005年6月アーカイブ

豪華客船のテロリスト

変なテロリストが出てくる。指の間から電気を発する(自分で作ったギミック)。さらに色々な言葉の語源を語ることを趣味としている *1 。かなり間抜けだし、なんだか個人的に親しみが持てる。
男と女の問題が、リアルでシリアスである。家庭の外に仕事と生き甲斐(?)、義務とロマンを求めてしまう男性と、家庭の中に男に始終いて欲しい女性の葛藤。この古典的で、あまりに普遍的な問題! ......そんで、振られてしまうんだけどね、主人公君。四六時中『家庭』の外にいる私には他人事ではない。まぁ最近の若い女性はその傾向からは脱しているらしき人もちらほら見られ、男性もニートとか言って、みんながみんな外に行きたがるわけでもないらしいから、立場が逆転してバランスが取れてきて、良いのか。????? エンターティンメントの中に、さりげなく実直な思考が記されている。 これは詩人さんの書いた本である。詩人は(多分)言葉遊びはしない。私の先生の一人は、『書かない詩人』であった。こと詩人に関してだけは、これは問題はない。感じて考え、考えて感じる。詩人はそれでいいのだ。私はそう思っている。 そのような感覚=思考のいくつかを詰め込んでいるあろうこの作品は、読者に考えさせたりしない。そのような態度はある意味で作者の怠惰であると言えるだろう。この本ではそのような投げかけは行われず、作者の具体的な思考の結果が、書かれているので、 快作というのか、気持ちの良い一冊でした *2 。
*1 : 謎の呪文『アブラカダブラ』が、『父と子と聖霊』の訛った形だというのは驚きでした *2 : 美女率がかなり高いのがやや不自然ですが......(講談社文庫)

ホステージ

リーダビリティとはなんぞや? 読み始めるとなかなか止められず、気を許すと最後まで一気読みさせてしまうような力のことである。そんで、この作品はその力を持っている(特に後半)。
以上、おしまい。
......あれれ、しょーもないことを書いてしまった。しかし、この本の特徴は以上に尽きると思う。ハラハラした2時間ぐらいを過ごすという、それだけのこと。が、かのスターウォーズであっても、第一作のコンセプトは同じようなことだ。ルーカスは当時、ハッキリとそう言明していた。親子がどうの悪の心がどうの言いはじめたのは、第一作の超大成功を待ってからである。もちろん、これがSWと同格の作品と言うつもりは全くないが、読後に、『面白かった』以外に言葉が見つからないのは、きっと同じベクトルに......、いやいや、やはり違う。SWに関しては、イメージの中にはあったけれど見たことはなかったという、だからそれを明示する既存の語彙を探すことが出来なかったということなのだったが、この作品は『見たことない』イメージでは全くない。むしろ見たことのある『危機』を何種類も過剰に組み合わせて面白さを作り出しているので、やはりそのベクトルには基本的な違いがあると言えると思う。感嘆すべきはこの作者のアレンジの才である。
とにもかくにも、現実逃避〜自分の精神状態を遠回りにコントロールすること〜の必要性はあるわけだし、決定的な打開策が無く、考えても仕方のない状態に、それを考え続けて自分を消耗してしまうことを止めるために、他の世界に一時没頭することは必要なことである。面白いだけの小説にも、ちゃんと存在価値はあるのである。(講談社文庫)
不肖私も実は学生時代にバイトで厨房に入ったことがあり、根っからの厨房人である友人もおり、そんなわけで楽しく読めるかと思った。もちろん面白かったのだが、しかし、これはどこかで見たことのある世界なのだった。
CGの教室、CGの会社と同じなのである。......もちろんライフルを密売(!)したりはしていないが、特に私が関わるところは非常にこんな感じである。
どうしてだろうかと考えると、つまり結局アレだね、限られた時間でものを手作りする集団は、結局のところ同じような精神環境になるのであると思う。一応、講師だったりディレクターだったりする私が、なんでこんなに口が悪いのか、それはつまり教室や作業する場所がアメリカ式の厨房であるからだ。そういうことなのだ。デザイナーはコックであり、レストランを作って結局失敗する経営者たちは、これは私は今は行っていない多くの学校経営者とクリソツである。現在行っている学校は違うパターンと信じたい。信じられないことを信じることが信仰である、アーメン。(新潮文庫)




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